発注者 北海道電力
工期 2002/11/05〜2003/01/15
現場代理人 加藤 健夫
工事概要 芦別発電所のダムの下流の導流壁(読んで字の如く、発電した水及び放流した水を川にまっすぐに導くコンクリートの壁をいう。)が洗掘されてい るために、その箇所にコンクリートを打って補強する工事です。(高さ 3m20p〜4m70p、幅 30p〜50p、長さ 26m40pです。)しかし、通常の発電を行っているため川を締め切っての作業が行えず、すべて水中作業での施工です。もちろんダイバーによる作業です。
作業順序
1) 仮設工
作業用の筏(使用する機械・資材等をのせる)をクレーンで川へ下ろし、船(漁船を思い浮かべてください。)で作業箇所まで曳航し設置する。
2) 清掃工
コンクリートの打ち込む箇所の土砂の撤去及び転石の撤去を人力及びウォーターリフトで行う。(ウォーターリフト:20p位の鋼管に消防ポンプの先を反対向きに取付け、その水流によって土砂を吸い上げる)
3) 下地処理工
コンクリートの打ち込む箇所の底部と壁を超高圧ジェットで表面を削って密着をよくする。(超高圧ジェット:2500s/p2、13m3/min 高圧洗車機の強力なものと思ってください。)
4) 型枠工
型枠材としてはメタルフォーム(鋼製枠)を使用する。底部は木製枠を使用する。水中溶接、水中切断等を行いながら型枠を取り付ける。
5) コンクリート工
コンクリートは水中不分離性コンクリートを配管を行いポンプ車で打ち込む。(不分離性コンクリート:性能は水中に打ち込でも分離せず、水にセメント分が溶け出さない、高流動化剤も含むためセルフレベリング打ち込めば自動的に平になる機能を持っている。)


 2月20日
>>躯体部型枠設置(セパ水中溶接)

既設コンクリートを穿孔し、アンカーをケミカルで固定を行いセパレーターを水中溶接し接続します。
各型枠ごとに溶接を行い、型枠を上方向に築造します。

>>躯体部(不分離)コンクリート打設
コンクリート打設中は常に打設高さを計測しながら層高管理を行いコンクリートを打設します。

>>躯体部(不分離)打設完了
(白く見える部分がコンクリートです)
2回目コンクリート打設完了のヶ所で3回目型枠組立前です。
コンクリート面の敷均しは均平になっています。

>>高流動性コンクリート 型枠設置状況
冬期の水中に型枠を設置しているところです。

>>型枠設置完了
型枠設置後、各所の寸法を計測し型枠設置を完了し、コンクリート打設を待つ状態です。
>>高流動性コンクリート打設

コンクリートが水面から出る部分の位置の打設状況です。
>>打設完了(水上部)
流動性コンクリートなのでバイブレーターを使用しなくてもコンクリートの表面がなだらかになっており、気泡が少なく良質なコンクリート状態です。



>>打設完了(水中部)
水中部分の型枠を取外したコンクリート表面状況です。
コンクリート面は良好な状態です(透明度は1.5mです)

型枠のセパレーター部のPコン部分の穴埋めをしている作業中です。
>>機材撤去(120tクレーン使用)
コンクリート打設等の工事完了により作業用、浮き桟橋の撤去状況です。
撤去機材の重量が3tになるものがあり、作業半径から検討し120tクレーンが必要です。
>>竣工
工事完了時の下線氷厚は60cmになっておりました。
工事も河川での吹雪きと強風の時期がありましたが、0災害で無事完成しました。

 1月24日

水中部(底部)削孔状況です。(ロートハンマー使用)
型枠設置固定用セパレーター取付のために削孔しています。
透明度は1.0mくらいです。撮影時の水深は3.0m。

水中部(底部)型枠取付完了(木製枠)。
型枠はメタルホームを使用しています。

コンクリート打設配管
型枠取付完了後、生コンクリートを打設する為のポンプ車から打設ヶ所までの配管を完了したところです。

コンクリート打設状況なんですが・・・・・
水中にコンクリートを打設中です。水中にダイバーが入っており、打設用ホースの先端を所定の位置に設置します。

コンクリート打設(ポンプ車使用)
コンクリート打設完了(底部)
バイブレーター等の締固め機械は使用しません。

コンクリート打設の上面部分の状況です。流動性が大きいために打設後のコテ均し仕上げがキレイに仕上がっております。

型枠取外をした状況です。流動性、不分離、コンクリートを使用しているためバイブレーターを使用しなくても締固められており、所定の強度を確保することが出来ます。側面の仕上がりが良好状態になっております。

12月16日
>>>機材配置図
施工方法:仮設工
◆作業筏組み立て◆
◆艤装◆
施工を行うための仮設設備として対岸よりトラッククレーンで作業筏を吊り降ろし水面上で組み立てを行う。作業筏は2基配備して、それぞれ潜水機材を設置した潜水ステージ及び資材運搬、作業用の筏の組み立てを行う。組立完了後、施工場所までボムボートで曳航を行う。
>>>打設要領図
◆揚重器機設置◆

色材の水面までの吊り降ろしのため、取水路ダム側の作業スペースに揚重装置の設置を行います。
◆補修ヶ所着手前状況◆
清掃完了(かなり表面が洗掘されています。)

コンクリートの表面のざらざらしている部分を補修します。
水中コンクリート打設となるために、水中ではバイブレーターを使用できないために流動性コンクリートを使用する。
◆ダイバーさんの装備です◆
全面マスク形を使用。
着衣は特殊ゴム製で二重構造になっており、二層の中には空気が入るようになっています。
全面マスクの中には電話装置があり地上と連絡が自由に出来ます。
背面のホースは地上からコンプレッサーによりマスク内に送る送気管です。

写真右側がロータリーコンプレッサーで左の青いタンクが貯気タンクです。≪コンプレッサー→貯気タンク→ダイバー≫という流れで酸素が送られます。貯気タンクはコンプレッサーが停止した場合でもタンク内の酸素がダイバーに送られるためのものです。

ロートハンマー(削岩機)です。これで壁に穴をあけてアンカーを打ちこみます。
水中部(底部)のコンクリートの写真です。
透明度が20cmくらいの時に撮影しました。通常では20cmの透明度では視界が悪く見えにくいので、撮影ヶ所前にビニール袋に真水を入れ真水を壁面に接して透明度をアップして撮影しました。


削孔完了後、ケミカルを挿入
(削孔状況は水が濁ってしまい撮れません)
型枠固定用のアンカーボルトを設置するヶ所です。

アンカーボルト挿入(ステンボルト、全ネジ)
型枠取付用、固定ボルト(セパレーター)

アンカーボルト打ちこみ

型枠の位置にロープを張りました。視界はご覧の通りです。(強力フラッシュで撮りました)撮影時の視界は20cmです。ロープを固定しているヶ所は5cm角のアングルです。
◆作業台(イカダ)の設置状況◆
12月9日、ついにと言うかとうとう結氷してしまいました。この日午前8時現在で気温-10.4℃、水温0.7℃でした(さぶ〜い)。

芦別ダムの上流です。全面結氷しました。

 12月6日

少し遠いのですが、芦別発電所(芦別ダム)の全景です。

施工範囲です。(左岸側より)

50tクレーンでボートの吊り下ろしです。
(作業用筏・シルトフェンスの曳航用)

作業用筏の吊り下ろし

施工範囲に接岸(設置完了)

ボートによるシルトフェンスの設置状況


設置完了


今回はここまでです。部分的なアップのみですが次回は水中写真をお見せできると思います。

壁面清掃中(水が濁って水中での写真が撮れません。
視界が15cm程度です)

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